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(ちょ、)
ちょっと待って。
「その方と私は恋仲なわけじゃないんです。だから勝負も何も・・」
「それならば尚の事、僕が勝ったら、その方をすっぱり諦めていただくことも可能ですね?」
なんでそうなる。
冬乃は頭を抱えそうになりながら、懸命な抵抗にとりかかるべく身を乗り出した。
「彼は、私の気持ちなんて何とも思ってないに決まってますから、彼にとってはこんなの迷惑以外の何でもありません。それに、」
おもわず声を怒らせて。
「貴方に、彼が誰なのかをお教えする気自体、ありません」
池田は、だが、さらにきりりと目を光らせてきた。
「僕は決して他言はしませんのでご安心ください。約束します。それに、どうせ組内のどなたかではありませんか?組に仕事でがんじがらめの貴女が、他所で懸想するお暇など無いのでしょうから」
「・・・」
どうも池田には、その理詰め手法でいろいろ簡単に看破されてしまいそうだと。冬乃は身震いした。
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