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 返答を待たずに婦警の後から給湯室に入った濱田を見やって、神崎は仕方なく椅子に座り直した。  暫くして濱田は、自分用に茶を入れた湯飲みと、神崎にはコーヒーが入ったマグカップをトレーに載せ戻ってきた。神崎のカップは大抵、飲みかけのままデスクに置きっぱなしになっているのだが、多分、総務の子が給湯室に片づけてくれたのだろう。  カップと一緒に、濱田は綺麗な包み紙に入った焼き菓子を一つ神崎のデスクに置いた。 「最近出来た、近所のケーキ屋の新作だそうだ。聞いたことない店だな」 「ありがとうございます……ああこれは、かなり離れたところの店ですよ。大方パトロールのついでに買ってきたんでしょうね、彼女たちのチェックは、駐車違反だけではないようですから」  淡いピンクの薄紙に、白いレース模様。店の名は金色の文字で書かれている。 「おまえ、良く知ってるな。うん旨い、この店の場所教えろよ。かみさんに土産に買ってってやろう」  濱田はそこそこの大きさのある焼き菓子を、一口で食べてしまった。 「いいですよ。その店は、ケーキより焼き菓子が美味しいそうです。買いに行く前に、彼女達からお勧めを聞いていったらどうですか?」 「ううむ、若い子は苦手でなぁ……。おまえ、聞いておいてくれないか?」  思わず神崎は苦笑した。     
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