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「春香を幸せにする。だから結婚してくれ」
不意打ちだ。笑顔のまま涙が止まらない。
デートの帰り、高校生の頃から付き合っていた拓海に突然告白された。
「えっ、えっと……あの……その……宜しく、おっ……お願いしましゅ」
ドラマの様に可愛らしくなんて出来ない。大事な返事を噛んでしまった……現実はそんなものだ。化粧だって崩れて、パンダみたいになっているだろう。
それでも、拓海が優しく抱きしめてくれる。
通りすがりの猫に睨まれても気にしない。
北風に舞い散る落ち葉が冷やかしたって気にしない。
ただ、永遠に感じる数秒間を大切にしたい。
街頭をスポットライトに、私たちは唇を重ね合わせた。
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