Merry Mysterious

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Merry Mysterious

 イルミネーションの光の粒が、街を美しく飾り立てる12月。  俺の勤めるデパートのおもちゃ売り場は、忙しさのピークを迎える。  孫の欲しがっているおもちゃと、おばあちゃんの手にしているそれが一致しているかメーカーに問い合わせ、『りらっくま』と『ぽむぽむプリン』を間違えたお父さんの商品交換に応じる。  イブに行われる『屋上ゴスペルライブ』の座席予約ができるかと聞かれれば調べ、合間に泣いている迷子をインフォメーションに連れて行かなくてはならない。  てんてこ舞、という言葉は、太鼓に合わせてテンポよく踊るさまから生まれた言葉だという。    このシーズンの俺たちは、まさに太鼓を打ち鳴らすリズムゲーム機の傍らで、朝から晩まで踊り狂っているわけだ。  ラッピング用のリボンが切れたので、隙を見て、倉庫へ駆け足で取りに行く。  おもちゃ売り場とゲームコーナーの境に、休憩用のベンチがあり、見るともなしに、視線がそちらへ吸い寄せられる。 (今日も来てる)  薄汚れたグレーのジャンパーを着たじいさんと、白いふわふわのコートを着た5歳くらいの女の子がふたり。  売り場のスタッフの間で、連日、朝から何も買わずに時間をつぶしている彼らの正体が噂になっている。
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