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妄想痴漢列車3―トナカイの俺を攫うのは君の役目でしょ?―
世はクリスマス前。町はこれでもかってくらいキラキラしてる。流れるクリスマスソングは既に耳タコだけど、そのうち全部聞き流せるようになる。
「クリスマスケーキのご予約はお済みですか?」
ケーキ屋の前で売り込みをするトナカイは、前を通り過ぎる人の波を見ながら体を震わせた。
「さむ…」
思わず呟くが、頭だけはわりと温かい。下は茶色に腹が白くて鈴のついたトナカイ着ぐるみの薄いのだけど、頭はわりとしっかりしたものだ。なんだこのアンバランスさ。
でも俺はめげない、負けない! なぜならこれは、俺が言いだした楽しい時間の為なんだから。
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