妄想痴漢列車3―トナカイの俺を攫うのは君の役目でしょ?―

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 あれから、俺はトナカイを続けている。なんか全部が虚しかったし、もうなんのためにバイトしてるのかも分からなかったけれど、俺が投げ出したら迷惑かかるから。  こんな時、着ぐるみって便利だって思った。トナカイの中で俺がどれだけ泣いていても、外からは見えないから。  三代川さんは心配してくれた。でも俺は空元気で「大丈夫っす」って言った。  だって、そう言わないと動けないじゃん。大丈夫じゃなくても「大丈夫」って言ってないと、泣いちゃうじゃん。  分かってるよ、どっかで電池切れてきっと俺大泣きする。今でも部屋で泣いてる。  それでも、忘れられないんだ。  どうするんだよ、俺の体こんなに開発しておいて。もう、電車で痴漢くらいじゃ全然興奮しないんだ。ここで散々エッチしたのを思いだして、体が熱くなるんだよ。  でもそれは所詮妄想で、本物が欲しいのにそれはなくて、自家発電のおかずにして達しても、その後すんごい虚しいんだ。
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