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この一言を切り出すのに、俺はかなりのMPを使った気がする。精神的消耗って、体力使うよりしんどいんだ。
秋川は苦笑いして、「うん、とね…」なんて言う。女子のその勿体ぶった感じが男の寿命縮めてる気がする。
「正木くんって、和樹と付き合ってるの?」
「それは! あの…」
「どっち?」
問い詰めるような感じに、俺はオロオロしながら小さく頷いた。これも風前の灯火だけど、まだ「別れた」と認める勇気はない。言いたくない。俺は今も、和樹が好きだから。
「付き合ってるって、言いたい。俺は、好きなままだから」
秋川は目を丸くした後で、なんだか嬉しそうに笑った。その笑顔の意味が分かりません。
「そっか。和樹喜ぶだろうな」
「…え?」
喜ぶ…ですか?
「だって、すっごく落ち込んでさ。恋人と喧嘩したって。しかも原因が私なんて、ちょっと責任感じちゃうし。それで、フォロー入れにきたの」
「え? フォロー?」
「そう。私、和樹とはお付き合いしてません。っていうか、彼氏いるんだ」
「えぇ!」
なんか訳ありそうに歩いていたのに、一緒の店行ったのに、二人きりで。なのに付き合ってない? 秋川に彼氏いる? 和樹遊ばれたのか? 落ち着け俺!
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