妄想痴漢列車3―トナカイの俺を攫うのは君の役目でしょ?―

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 バイトも残す所五分。俺は悶々と考えながらも体を動かした。動くって大事だな、余計な事を考えなくていいし、頭の中も動く。  そうして愉快なトナカイを演じていると、その先に見たくてたまらない人の影があった。黒のダッフルコートの和樹は、俺を見て力なく笑っている。俺は、泣きそうだ。 「トナカイさん、この後空いてる?」  俺は頷いた。声は泣きそうで震えていて出せなかった。 「じゃあ、俺と一緒にクリスマスを過ごしてくれますか?」  何度も何度も頷いた。嬉しすぎて泣きそうだ。ごめんなさいが沢山だ。このトナカイ、俺の汗と涙を吸いまくってる。 「良かった。じゃあ、ここでケーキ選びながら待ってるからね」 「あい」  優しいサンタがトナカイを迎えにきてくれたから、トナカイはお家に帰る事ができます。  バイトを終えた、俺は表で待ってる和樹に近づいていった。色んな事バレバレな顔してるから、和樹は苦笑いしながら俺の鼻のてっぺんを突いた。 「泣くなよ」 「ごめん、俺どうしようもないバカで。和樹の事、疑って…」 「分かってるよ。亮二は小さい頃からそういう事あるだろ?」     
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