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バイトも残す所五分。俺は悶々と考えながらも体を動かした。動くって大事だな、余計な事を考えなくていいし、頭の中も動く。
そうして愉快なトナカイを演じていると、その先に見たくてたまらない人の影があった。黒のダッフルコートの和樹は、俺を見て力なく笑っている。俺は、泣きそうだ。
「トナカイさん、この後空いてる?」
俺は頷いた。声は泣きそうで震えていて出せなかった。
「じゃあ、俺と一緒にクリスマスを過ごしてくれますか?」
何度も何度も頷いた。嬉しすぎて泣きそうだ。ごめんなさいが沢山だ。このトナカイ、俺の汗と涙を吸いまくってる。
「良かった。じゃあ、ここでケーキ選びながら待ってるからね」
「あい」
優しいサンタがトナカイを迎えにきてくれたから、トナカイはお家に帰る事ができます。
バイトを終えた、俺は表で待ってる和樹に近づいていった。色んな事バレバレな顔してるから、和樹は苦笑いしながら俺の鼻のてっぺんを突いた。
「泣くなよ」
「ごめん、俺どうしようもないバカで。和樹の事、疑って…」
「分かってるよ。亮二は小さい頃からそういう事あるだろ?」
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