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俺はその後、人並みに野望に打ち破れ、当時の仲間から、派手な裏切りや冷笑こそ受けなかったものの、「何でも力になる」と言いつつ、静かに距離を置かれるという殊遇を受け、同時に大きな失恋をし、先の未来に何の希望も持てなくなった。それでも数年は空虚なまま日々を過ごし、打開の道を見つけようと様々な集まりに出向いたが、以前のように心から何かの可能性を信じたり、その瞬間を楽しいと感じることはできなくなっていた。そうしている内に、このままぼんやりとしている内に老いて死に至るのではないかという絶望より恐ろしいものが俺の身を襲った。生活不安である。
大学を出て就いた最初の職を、数ヶ月で自分には合わないと決めつけて辞めてしまった後、その場しのぎのアルバイトすら、大学時代に飽きてしまっていたのでやらなかった俺は、理想や享楽に生きるための資金を切らしつつあった。しかし一度は表現者や活動家であったというプライドが、日々の生活を凌ぐための労働に向かうことを自分に許さなかった。
そこで俺は自死についての計画を立て始めた。演劇をやっていた頃にも、オリジナルでやるときは俺が書くから他の奴らは黙らせておけと豪語していたにも関わらず、結局一本も書き上げたことのいなかった俺だが、死は、ついに来た晴れ舞台なのだ、非の打ち所のない完璧な傑作を書いて死んでやろうと考えていた。
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