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「随分と遅い挨拶だな?」
ハルは無表情のままアキに近づき、流れるように左手でアキの腰を引き寄せながら右手を頬に添え、仄かに色づく薄い唇をその親指で撫でる。
「……起こしてくれたらよかったのに。」
されるがまま、アキは頭一つ分高い位置にある相手の顔を見つめながら相手に身体を預ける。視線が絡めば、ハルの焦茶の瞳に熱が宿り、ゆっくりと顔が近づいてくるのに察して、目を閉じた。
ちゅ、と触れるだけの口付けの後、一度離れたハルの唇が、頬から首筋へと吸い付くように触れては移りを繰り返していく。
「っ、……ぁ、ハル、」
鎖骨まで降りたハルの唇が一際強くそこへ吸い付き離れれば、微かな痛みと共に小さな赤い花が浮かぶ。それを付けた相手をまた見つめれば、愛おしさの滲んだ目と視線が合う。
「アキ、愛してる。」
艶っぽい低音が鼓膜を震わせ、次いで耳朶を甘噛みされ。力の抜けた身体が落ちてしまわないように腰に回された腕に力が入れば、アキは自らも相手に縋りつくように枝垂れかかった。
「俺も。……でも、言葉じゃ足りない。」
お返しとばかりに、彼より少し高めの色を滲ませた声で、相手の耳元で囁いた。
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