1、その日、私は青春を使い果たすような旅に出た

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1、その日、私は青春を使い果たすような旅に出た

青い空。白い雲。そしてどこまでも広がる……。 「海ーー!!」 私は両手を挙げてそう叫ぶと、砂浜に駆け込んで行った。靴の間から、海独特のツブツブした砂が入り込んでくる。 「ナギ、はしゃぎ過ぎ」 後ろから、そう注意する声が聞こえ、私は足を止めるとくるりと振り返った。 そこに居るのは、四人の高校生。男子二人に、女子も私を入れて二人。 私たちは、この四人で旅をしている。 「しょうがないじゃないですか。初めてなんですよ、海」 私は少し頬を膨らませて言い返す。 「それは知ってるけど、ちょっと落ち着きなって。ナギ、すぐ先走るから」 いつものように、少し呆れた様子で諌めてくるのは、一つ年上の柏崎優生先輩。私がユウ先輩と呼ぶこの人が今回の旅の発起人であり、リーダー的存在である人だ。 「まあまあ、そう固いこと言うなって。だいたい海まで来て、落ち着いててどうするんだよ」 ユウ先輩の隣、おどけた口調でそう言うのは、沢崎晴先輩。真面目なユウ先輩とは違い、少しお調子者で軽いところのあるハル先輩は、私と気が合う。 「そうですよ。せっかくですから、一緒に遊びましょう。ね、あすか先輩も」     
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