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滑らかなシーツに包まれて、その心地好い肌触りに眠りながらも笑みが零れる。
窓からは涼しげな風が入り、気持ち良くうたた寝をする愛美の肌を撫でていた──
「マナミ……」
「…ん……」
聞き慣れた声が耳の傍で囁く。
「マナミ……」
「んん……」
愛美は夢の中で返事をしていた。
お寝坊な愛美の仕草にクスクスと笑う声がする。
その声が吐かれる唇はシーツから覗く愛美の肩に優しく押し当てられていた。
午前に一仕事を終わらせたザイードは、昼寝をする愛美の様子を訪ね、居室に戻って来ていた。
起こしたいけどゆっくり休ませてもあげたい。
二つの想いを抱えながら、ザイードは愛美に悪戯を仕掛ける。
気持ち良く眠り込む愛美を幸せそうに眺めては、その眠りを覚ますように唇で愛美の肌を愛撫していた。
甘く吸い付いては軽い音が鳴る。
唇で細い肩を食み、耳にキスをする。
一向に目覚める気配のない愛美に耐えかねて、ザイードはシーツの中に滑り込み、背中から愛美を包むようにして抱き締めた。
小さな悪戯から大胆な行動に出たザイードに、愛美は目を閉じたまま、ふふっと思わず笑っていた。
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