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「サンタってのは、実は幽霊なんだよ。クリスマスが近づくと、親にとりつくんだ。だからついつい親は、サンタになって子どもの欲しいもの買っちゃうんだ」
口の端をぐいっと上げて、ニカッと笑顔を向けてくれる。
「これは、ナイショな。もし、変な奴に知られて、ジョレイされたら、サンタ幽霊がいなくなっちゃうからな、ゴクヒジコウなんだ」
姉ちゃんを信用して話すんだからな、誰にも言うなよ。そう、宗太は締め括った。
「そっか、サンタさんは、幽霊…」
幽霊という単語で簡単に思い浮かべてしまう存在が、私にはある。それは宗太にとっても同じだろう。
しかし宗太は私の笑顔を期待するワクワクな顔だった。
サンタという幸せの象徴と重ねることができて、ある意味、救いなのかもしれない。
「だから、世界中の子どものところに行けたんだね」
ニッコリ。
笑顔を張り付けて、一言伝えた。
「…でも、難しい言葉知ってるね。極秘事項とか、意味判るの?」
「めちゃめちゃ秘密なことだろ? 知ってるから使ってんじゃねーか」
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