嘘つきが、行く

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 冬休みが明けた初日、私は、学校に休む旨の連絡を入れた。  そして、ねえねからのお年玉を財布に入れ、年賀状を鞄に忍ばせてマンションを出た。  マンションから、名古屋駅までバスを使って20分ほどだ。そこから、JR中央線に乗る。先ず向かうのは、土岐市だった。  快速電車だと、土岐まで40分程の道のり。  そう遠くはないが、暇をもて余す距離ではあり、私は文庫を持ってきていた。  しかし、私の緊張は予想以上だった。退屈などということは全くない。むしろ、座って文字を追う程度の落ち着きが持てなかった。  ビルばかりだった風景に、住宅街が映り込み、さらに進むと田畑も加わり始める。交互に窓を彩りながら、徐々に畑や田んぼを占める面積が広くなっていく。  それを漫然と視界に入れるだけだったため、広い窓一杯に山と空だけが映されて初めて私はビックリした。  少し下を覗くと、えぐられたような深い谷の底に川が見える。  電車は、その谷川沿いに山端を走っていた。  もう、岐阜県に入っていた。
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