嘘つきが、行く

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「家は、どう?」  自然を装い聞いてみる。 「ん? うん、面白いよ」  屈託なく、何の情報にもならない内容を返してくる宗太。 「服は、小さくなってない?」 「んっ、買ってもらった。ほら、これ、ダイオウイカ。あとねー、コブラの絵のもある」  上着のチャックを下ろして中のトレーナーの柄を私に見せ、どれが良いか、選ばせてもらったと宗太はニコニコ話してくれる。  考えてみたら、宗太はこれまでずっと服など買ってもらわなかった。母の友人の息子のお下がりを着てきたのだ。  宗太自身、特別服にコダワリがなかったが故の成り行きだったのだろうけれど、自分のための新しい服を誇らしげに見せる姿に少し胸が詰まった。   「パンツとかシャツも、小さくなったらちゃんと伝えなくちゃダメだよ」 「おぅっ」  判っているのか判ってないのか、判らない返事に脱力させられる。  しかし、毎日を楽しく過ごしているらしいことが伝わってきて、ほっとした。  クリスマスには、康史くんと共謀して新しいゲーム機とソフトを買ってもらったそうだ。  冬休み中は二人で死ぬほどゲームをやりこんだと宗太はまた笑う。  その声が、不自然に止まった。 「姉ちゃん、サンタって、いなかったんだな」  ポソリと、宗太が呟いた。
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