01 - ゴオン、と重厚な音が

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01 - ゴオン、と重厚な音が

 ゴオン、と重々しい音が鳴りひびいて顔をあげると、棺とそれにとりすがる者、うなだれてついてくる者などがいりまじって神殿からでてきた。  彼らを見つめる少年を、いくつか年長の少年が呼んだ。  「アイディーン」  声のしたほうをふりかえると、彼の兄、クールドが困ったように首をかたむける。  「おまえは自分の叔父上が亡くなられても、神官みたいに平静でいられるんだね。叔父上はおまえをことのほか可愛がってくださっていたのに」  「死者は皆、天界へ昇っていくんでしょう。きっと叔父上もそこで安らかにおなりです」  「悲しくないのかい。もう二度と会って話すことはできないのに」  「兄上、亡くなった方のもとに親しい方々が集まるのは、死後の安寧を祈るためでしょう。なげき悲しむことなど、亡くなった方が望みはしないはずです」  クールドは自分こそが悲しみを覚えて顔を伏せた。  「そうかもしれないけど……。父上や母上や、僕が天界へ昇るときにはもっと別な顔をしてほしいな」  彼の弟はもう一度死者の棺を見て、ただうなずいた。
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