Santa Claus is coming to town.

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看護師が、真悠子の病室前まで連れてきてくれた。 「母子ともに無事ですよ」と、産婦人科病棟まで案内してくれたのは、運良く産婦人科ナースだったのだ。 「奏史」 真悠子は、ベッド上で身体を起こしていた。 俺は何も考えられなくて、真悠子を抱きしめた。 「ちょっと奏史、苦しい」 「ありがとう」 なんでだろう。 泣きそうだ。 真悠子のいない世界なんて、もう考えられない。 命は儚いから。 愛する人が生きていることも、傍にいることも、すべて奇跡なのだと思う。 少し腕を緩めると、真悠子が、ぷはっと顔を出した。 「頑張ってくれて、ありがとう」 愛おし過ぎて、真悠子にキス、しようと顔を近付けた、その時。 ガラッと、スライドドアが開いて、先程の看護師が入ってきた。 俺達は慌てて抱擁を解いた。 「ふふっ、お邪魔してごめんなさいね。赤ちゃん連れてきましたよ」 看護師から受け取った小さな命は、壊れそうで、儚くて。 「……愛おしいな」 サンタは、いるのかもしれないな。 俺には、真悠子と、この子が、最高のクリスマスプレゼントだ。 Happy birthday and merry christmas! 【Santa Claus is coming to town.】 end.
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