44人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
魔王国から遠く離れた帝国付近の森。
その最深部にある平屋の一軒家、そこが私の居場所だ。
庭で薬草や野菜なぞを育てながらのんびりと生活している。
これだけ聞くと隠居した爺のようだが、執務はしているし引退したわけではない。
私以上の力を持つ者が現れるまで、魔王の座を譲ることは決してない。
それが力を持つ者の定めであり、使命だからだ。
魔に属するもの達は一様に力ある者の下につく。
それは血に刻まれた本能のようなもので、自らの意思でどうにか出来るものではないらしい。
らしい、というのはこの世界に生を受けたその時から魔王であった私には分からない感覚だからだ。
最初のコメントを投稿しよう!