プロローグ

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 世の中の人に言わせると、うちの高校は『名門付属校』と言われる高校らしい。未だに国公立や有名大学への進学率は高いし、受験しなくてもエスカレーター式に、世間的にそこそこ評価されている大学に内部進学も可能だ。付属の小学校、中学校もあって、俺は小学校からこの学校に通っている。  というわけで高校になると進学率の高さから、わざわざ地方から入学してくる奴がいる。そういう奴らのために、高校には寮があって、俺は別に家が遠いわけじゃないけど、家にいたくなくて寮生活を選択した。  寮は二人相部屋だ。そして同室になった相手によって、高校生活の行方が左右されるといっても過言ではない。……と先輩たちは口を揃えて言う。それでもって、その俺と相部屋になったのは、高校からの入学組の奴だった。  そもそもかなり偏差値が高いうちの学校に、高校から入学してくる奴は、皆勉強のできるイイコちゃんばかりだ。しかも俺の相部屋の奴は、主席で入学したらしい。さぞかし頭がいい、イイコちゃんなんだろうな、と思っていたら。 「はじめまして。俺、一ノ瀬 慶一郎」    先に部屋に居て、机の前で本を読んでいたソイツに、俺が挨拶する。 image=509947871.jpg
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