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第一章
新ちゃんたちとバカ話をしてから、数日後、下駄箱で呆然としているアイツを見つけた。
「…………何やっているんだ?」
その瞬間、彼は小さな手紙のようなものをギュッと手のひらで握り締める。それをくしゃくしゃにつぶして、苛ただしげにそれを床に捨てて、足で踏みつけた。
(ちょ……なんからしくねえな。なんなんだよ)
普段の冷静なアイツらしからぬ態度に、思わず興味を引かれた。だから悪いと思いつつ、アイツが立ち去った後、屑箱に投げ捨てられたそれを、周りを見渡して拾い上げ、そっとポケットに納める。冷静なアイツにあんな顔をさせるものは何なのか?
ほんの軽い気持ちだったんだ。最悪な同居人の、弱みを握る、くらいのつもりで。
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