第一章

3/17
前へ
/259ページ
次へ
***  その日の放課後。彼女にメールを送ったら、即返信があって、最寄りの駅で待ち合わせをする。待ち合わせ相手は、お尻が見えそうなくらいギリギリ丈のミニスカートに高いヒールのミュールを履いて、かなり色っぽくてきわどい格好をして駅の改札前に立っている。すんなりと伸びた足が綺麗で、ちょっとドキドキしてしまった。  こんなの、サノっち達にばれたら、確実にやれ合コンだの、なんだのって、五月蝿いだろうな、と思いつつ。 「ごめん、待った?」  そう言って声を掛けると。 「お茶する? それともこの間の復習でもする?」  と誘いかけるみたいなエッチな顔で笑う。けど、さっきのことがあって、何だかそう言う気分でもなくて。 「お茶でもしよか~」  とか言って、腕に絡ませてくる彼女の指を、ちょっとだけうっとうしく思いながら、喫茶店に向かう。 「そうだ、買いたい雑誌があるんだ」  彼女が言って、喫茶店に行く前に本屋に向かう。雑誌コーナーに走る彼女を横目に、何となく店の前のカウンターに立っていると、カウンターに向かう学生服の男と、肩が触れる。 「あ、わりぃ」  俺がぼおっとカウンター前に立っていたからだ。その男がぶつかった勢いで、本を取り落とす。咄嗟に謝りながら、拾って渡そうとすると。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

615人が本棚に入れています
本棚に追加