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シンちゃんとは今夜初めて会ったばかりだった。
見た目には、中学生のわたしよりも少し年下。少し色の薄い髪と蒼がかった瞳の色はまるで外国人みたいだ。無邪気で、天真爛漫という言葉がよく似合う。ピョンピョンと跳ねながら、この世界をとても楽しそうに闊歩する。
この世界、と言ってもここはただの住宅街なのだけれど。
シンちゃんは興奮を抑えきれないというように、うさぎのようにぱたぱたと走っていく。いつの間にか距離が離れ、月明かりだけが彼の輪郭を象っていた。わたしはそのスピードについていけず、はあはあと息を吐きながら追う。
「待って、待って。速い。……ねえ、シンちゃんって、本当は何者?」
「だから、キミのおにーちゃんの友達だってば」
「……お兄ちゃんはシンちゃんのこと、フリーターって言ってたけど」
「そうかな? そうかも? でも僕は、おにーちゃんの友達だよ」
シンちゃんは楽しそうに振り返ると、行き止まりの二叉路で首を傾げ、右と左を指差す。わたしは右を指差し示した。
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