星の降る夜に

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星の降る夜に

「姉ちゃんの、バカ!」  玄関の鉄のドアにおもいっきりケリをいれて、ぼくは外へ飛び出した。  4階の廊下はシーンとしていて、ドアのしまる音が、やけに大きくマンション中にひびきわたった。  パジャマ姿の自分を見てため息をつく。だれも追っては来ない。ぼくの行き先がどうせ屋上だって知ってるからだ。  非常口のドアを開けると、外壁にらせん階段が張り付いている。屋上まで行くには内階段ではダメなんだ。手すりをしっかりつかんで空を見ながらずんずん上る。    5階、6階、星がだんだん近づいてくる。  ぼくの怒りも上昇する。  夏中かけて作った大作だったのに!  恐竜展で手に入れた、プレミアもんの翼竜の模型を、姉ちゃんのダイエットヨガとやらがふみつぶしたんだ。デブでもないくせに、予防だあ?中一のくせになまいきなんだ。  そんなだいじなもん置いとくほうが悪いだって?飾り棚以外どこに置けってんだ。ふざけんな!   100%姉ちゃんのせいじゃないか。今日こそ許すもんか。ぼくの怒りは沸騰寸前。
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