星の降る夜に

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(あれっ、誰かいる)  目線を月から戻したとき、その下に人影があった。女の子みたいだ。  警戒しながらゆっくりとそばによると、白っぽいフリルが山ほど付いたパジャマを着ていて人形を抱いている。4才ぐらいかな。  満月を背中にしょっているので、体全体が青く光っている。顔は逆光でよく見えなかったけど、泣いているみたいだった。    今の光でびっくりしたんだ。 「だいじょうぶ?」    ぼくはがらにもなくやさしい声で聞いた  女の子は泣いていて答えない。 「どうしたの?こんな夜遅くに」 「タケルが、お人形こわしちゃったの」  女の子の目から、ぱらぱらと透明な涙が落ち、うでのちぎれた人形をぬらしていた。 「タケルって?」 「ミコちゃんちの赤ちゃん、ママにいってもあとでねって、タケルにおっぱいあげてるんだもん」    弟か・・ぼくと同じ名前だ。 「かしてみな、なおしてやるから」
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