星の降る夜に

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 人形こわされて泣きながら出てきたってわけか。  ぼくと、一緒じゃん。いきなり親近感がわいた。  人形のうでは、はずれていただけだったから、ぼくにも簡単にはめ直すことができた。 「わあ!マリンちゃんよかったねー。もういたくないよ。ありがとう、おにいちゃん」  女の子はコンクリの床にぺたっと座り込むと人形をぎゅっと抱きしめた。  ぼくも並んで座る。風が気持ちいい。  今まで沸騰寸前だった怒りが、びっくりしたのと、小さな仲間がいたことで、すうっと退いていった。  星が、二つ流れた。こういうのは見たことがある。ふつうの流れ星だ。    さっきのは何だったんだろう?流星群が来るってニュースで言ってたっけ。今夜なのかなあ。  女の子が人形をなでながら言った。 「タケルはね、すぐミコちゃんのつみきのおうち、こわすの。お絵かきもぐちゃぐちゃする。ご本もビリってした。」 「そっかー、悪い子だね」 「ううん、まだ一才だからしかたないんだよ。タケルはミコちゃんと遊びたいんだって、ママがいってた。」  ちびのくせにお姉ちゃんしてるんだなこいつ。
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