王都ピュロス到着

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  タケルたちがアグレイアの街を出たのは、 あの死闘から二日後のことであった。 タケルに関しては、松葉杖ごときでは埒があかないために、 おそらくヘファイストスあたりの技術によって作られたであろう、車椅子に乗せての旅となる。 肝心の王都ピュロスまでは二日とかからないそうだ。 タケルの回復力なら、それまでに両掌の傷は塞がるに違いない。 最悪、天叢雲剣を握るぐらい、どうにかなるはずだ。 ・・・相変わらず上空の太陽の輝きは鈍い・・・。 ただでさえ、不安材料は山ほどあるのに、余計メンバーの気分を落とし込むことになりそうだ。 ハデス戦の後とは大違いだ。 隊の士気が下がっているのはもう一つ理由がある。 ミィナの表情が暗いことだ。 ・・・原因ははっきりしている。 仮に、サルペドンがオリオン神群に和平案を提示し、 ゼウスがそれを飲んでしまった場合、 彼女の村や家族を殺された恨みの矛先が、どこへいけばいいか判らなくなるためだ。  
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