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もちろん、ミィナも話がわからぬわけでもない。
理屈では、これ以上犠牲者を出すことが、いかに無益なことか理解はしている。
しかし彼女はまだ若く、それを心の底で受け入れることが出来ないのだ。
・・・特にタケルを含め、スサのメンバーたちは、オリオン神群に家族を殺された者はいない。
仲間が犠牲になっているとは言え、それはあくまでも既に戦闘の覚悟を決めた者たちの死だ。
平和な暮らしをしていたはずの自分たちを、
いいように踏みにじられたままで、どうして耐えることができるであろう。
それも、自分が言い出すことなら話は別だ。
今回は自分のいないところで、話が進められてしまった。
「あたしの気持ちを、少しでもおまえら気にしてくれてんのかっ!?」
アグレイアの街を発ってからというもの、それがミィナの心中で渦を巻いていたのだ。
・・・ちなみに今、どんな状態かと言うと、
包帯とギブスだらけのタケルの車椅子を、ミィナが押している。
複雑な乙女心というのか、彼女は死にそうな目にあったタケルを労ってやりたくてしょうがない。
でも頭の中には、いろんな感情が幾つも幾つも沸いてきて、自然と寡黙なまま車を押しているのだ。
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