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そして、入学式。
同じクラスになった、たまたま横並びになれた女子、曽根麻美。
小柄で色白で、そのくせ髪は黒くて艶々で、ミディアムボブなのにそれを無理くりポニテにしてるのが可愛くて、俺を見るとにこっと笑って「よろしくね」って言ったんだ。
遅れ毛がうなじで揺れてるのが色っぽかった。
制服の規定より短くしてるスカートから出た生足の太腿が艶めかしかった。
そんな子供と大人が同居したような彼女に、俺は恋をした。
一年間、彼女の姿ばかり追っていた。
二年、残念ながらクラスは違った。
三年、幸いにもまた同じクラスになれた。
幸せな時間は瞬く間に過ぎる。
あっと言う間に夏になり、秋になり、冬を迎えた。
きっと彼女は、入学式で俺が隣だったなんて覚えてないだろう。
きっと彼女は、俺がトータル二年間もストーカーよろしく姿を追っていたなんて知らないだろう。
風の便りに彼女の受験大学を知った、県外の有名大学だった。
俺は市内の大学、離れ離れだ。
どうにかして。
どうにかして、思いを……。
*
親戚の少ない我が家では、お年玉は微々たるものだ。
それを干支の絵柄の描かれたポチ袋に掻き集め、握り締めて彼女を呼び出した。
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