【お年玉で買ったのは……】

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「なあに? 高原(たかはら)くん?」 可愛い声で呼ばれた、それだけで幸せだけど。 「あのさ」 呼び出しておいて、目も見れずに言った。 「これで、曽根を買いたい」 ポチ袋に入ったままのお年玉を差し出した。 「──はあっ!?」 とびきり不機嫌に言われた、そうだよな、うん、不謹慎、不躾、失礼、欠礼、無礼……。 「あたしをなんだと思ってるの?」 思い切り怒られた。 「うん、ごめん、別に援交とか期待してるんじゃなくて」 「当たり前でしょ、そんなことしないから」 「心が、欲しいんだ」 「心? 何言ってるの? そんなもの金で買えないから」 「うん、判ってる、その、あの、少しでいいから一緒に、過ごしたいんだけど……」 「援交じゃん!」 「うん、ごめん、あの、時給だといくらくらい……」 俺はビンタをくらった、彼女はスカートを翻して去っていく。 入学式より伸びた髪が揺れながら去っていくのを見つめていた。 ああ、やっぱり非常識だったよな。 ああ、でも捨て身の切っ掛けのつもりだったんだ。 ああ、俺は馬鹿だ、素直に告白をすべきだった……。
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