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出会いの春
体育館を出た俺は、やたら眩しい気がして目を細めた。
ずっと雨が続いていたけど、今日はいい天気だ。雨が空気を奇麗にするから、雨続きの後の晴れ間は空が奇麗なんだ、と、聞いたことがある。そのせいかな。空は本当に青く、澄んでいるように見える。抜けるような青空、なんてのはこういう空のことを言うのかも。
「うぉい! 立ち止まんなよ!」
後ろから小突かれる。
「っせーな」
振り向くと、木内が立っている。
「てめえ、でかすぎて邪魔なんだよ」
冗談混じりに言う木内は身長168cm。バスケをやるにはちょっと小さい。でも、機動力とジャンプ力がある。それはすごく重要なことだ。とはいえ俺は184cm。16cmの差はかなりのものだ。
「ひがむな、ひがむな」
「るせっ」
そう言って木内は軽く俺をかわして走り出した。朝練であれだけ走ったのに、元気なやつ。一応追いかけるように走り出すと、木内が俺を振り返った。
「遅刻しても知らねえぞ。もう始業式、始まってる時間じゃん」
「入学式じゃねえの?」
「どうせ俺ら中学から持ち上がりじゃん。どっちでも同じだよ。もう、先行くぜ」
「んだよ、待てよ」
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