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「知ってますよ。でも、俺、行きませんから」
「あのなあ……。お前、拗ねるのもいい加減にしろよ」
「拗ねる?」
怪訝な顔で首をかしげる。こちらの言いたいことが分からないはずはないのに、と、宮田は腹が立つ。
「拗ねてなんていません」
「じゃあ、悩んでる」
「どうして? 俺は、先生が好きで、それ以上でも以下でもなく、別に悩むこともない。拗ねる必要もないです」
反抗的な物言いに、ムカつきが加速する。しかし、落ち着けと言い聞かせて、一つ大きく息を吐いた。自分は教師だ。十六の高校生と同じレベルで喧嘩しちゃいけない。
「入学式に行きたくない理由はなんだ。どうしてここにいる?」
「図書館、好きなんですよ。今なら誰もいないからいつもより静かだし」
「そういう問題じゃないだろう。生徒は全員入学式に参加する義務があるんだ」
「俺一人いなくたって問題ないっしょ」
「言い訳にならないな。スポーツをやる人間が規則を守れないというのはまずいんじゃないのか? そうだろう」
「それはそうっすけど……サボりたかったんで」
「なんでだ?」
「別に……」
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