二度目の春

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「ぼさぼさすんじゃねえ、さっさと戻れ! ……遅ぇぞっ!」 「……!」 「返事はどうしたぁ!」 「は……はいっ!」  宮田の尖った声が飛び、いくつものバッシュが体育館の床を鳴らす。きゅきゅっというあの特有の音がいくつも重なった。  一年生たちは、もう十日も続いている練習に辟易していた。いくらバスケが好きでも、強くなりたいと思っていても、これだけ練習が続くと辛い。息は上がり、体は痛み、目まいすら覚える。こういう練習は本当に意味があるのだろうか。  そう思っているのは一年だけではない。むしろ二年のメイン選手や、数少ない三年の部員の方がおかしいと感じていた。去年までと明らかに違う練習量。今年の一学期から、コーチは変わった。 「おらぁ! お前らその程度か!? ボール見ろ! 走れ! 次、スクエアパス! いくぞ、早くしろっ」  それでも、試合形式の練習なら楽しみもある。だが、ストレッチやランニングなどで体を温めた後は、基礎練習としてひたすらフットワークやパス練習が続く。同じことを繰り返し、叱責されてばかりいれば士気が下がるのも当然だった。集中力が落ち、ミスが重なる。するとまた叱り飛ばされる。     
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