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漫画の中でしか拝めないような容姿の男子生徒を前にしているだけで、平凡すぎる自分の容姿が恥ずかしくなってくる。
いつの間にか手に汗をかいて、喉がカラカラになってきた。
「……意味が、ごほっ! わ、わからない……んごっほ、ごっほ!」
安紗美は緊張しながら喋ったせいで咳き込んだ。
瞬は首の後ろを撫でながら言った。
「そんなに難しいこと言った覚えはないんだけど……。いい? 付き合うっていうのは――」
「い、意味ならわかります!!」
「さっきわかんないって言ったじゃん」
「い、いや、だから――!!」
「さっきから緊張しすぎじゃない? 大丈夫?」
真顔の瞬からあまり心配してなさそうに言われて、
(そりゃ緊張するよ!)
と安紗美は心の中で言い返す。
「あの、月本くんと私は、今日、初めて会ったんですよ、ね……?」
「そうだよ」
(そうだよね!)
と安紗美は心の中で手を握り締めた。
(どこかで会ってたのに私だけが忘れてるかと思ったけど、そんなことなかった! そりゃそうだよ、こんな目立つ顔を忘れるはずないもん。……こんな、かっこいいひとを)
「どうしてそんなに俺の顔を見るの?」
気付かずに瞬の顔を凝視していると、彼がニヤッと薄笑いを浮かべながら首を傾げた。
「以前どこかで会ったけど忘れてるだけかも、って考えてた?」
「えっ……」
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