40人が本棚に入れています
本棚に追加
考えていたことを見抜かれた安紗美が緊張で表情を固くすると、瞬が「クスっ」と笑った。
「会ってたら忘れるはずないよね? 俺、かっこいい顔してるし」
瞬の発言を聞いて、安紗美は心臓まで固まりそうになった。いま自分が考えたことが、どうしてここまで見抜かれてしまうのだろう? 普段、家族以外の人間とコミュニケーションを取らないせいで、考えていることが全部筒抜けになるような顔をするようになったのだろうか?
「か、かっこいいなんて思ってないし! なんなんですか、ちょっと自意識過剰じゃないですか!?」
「それより、どうするの? 俺と付き合うの?」
安紗美の精いっぱいの強がりをあっさり受け流して、瞬が告白の返事を迫ってくる。安紗美はこの勘の鋭い謎のイケメンにすっかりペースを握られ、断る言葉もうまく言えなかった。
「しょ、初対面なのに、告白するって……」
「冗談か罰ゲームだと思ってる? えーと……」
「?」
「ごめん。あんたの名前なんだっけ?」
(はぁぁ――!?)と安紗美は裏返った声をあげてしまいそうになった。
「お、及川安紗美ですっ!」
「安紗美か。よろしく。じゃ付き合って?」
「#$%&’<>……!!」
お互いの常識が噛み合わなさすぎて、安紗美が思わず言語化不可能な声を上げると、瞬が言った。
最初のコメントを投稿しよう!