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1章 人間失格、異世界に墜ちる
読者諸氏、0章以来だな。僕だ。
僕は今、所謂スカイダイビングというものをパラシュート無しでやっている。
「ふざけるな、死ねクソ神。」
かなりの高さから落下しているため、地面に叩きつけられれば即死だろう。
「……死ぬのは別に構わんが、痛いのは嫌だ。…………そうだ、能力とやらを試してみるか。…………『快楽』。」
今回再現したのは機械仕掛けの悪性兵器と神に選ばれた人間が戦う漫画の悪性兵器側の人間の一人が持つ能力、「快楽」。簡単に言うと、触れたいものを選べる能力だ。……翼を生やす系統の能力は思い付かなかったんだ、悪いか?
触れたいものを選べる能力で空気を踏みつけ落下速度を削る。空気を掴むように指を突き立て、さらに減速する。
「よし、止まったな。」
空中で一度完全に停止し、そこからゆっくり地上まで歩いて降りる。
「……なんだか声がおかしいな?それに……記憶にあるより視点が低い……まさか!」
嫌な予感がして、水属性の魔力で全身が写る姿見を作る。そこには、案の定というか、嫌な予感が的中した僕の姿があった。
「誰だ、この可愛いげのない無愛想な面をした小娘は。」
ろくに手入れをしていない癖の強い黒い短髪が、どういうわけか艶のあるストレートに変わり。右目が青、左目が翡翠色のオッドアイに変わっている(転生前は濁った黒だった。なお、相変わらず目が死んでいる)。顔は元より中性的だったのだが、どう見ても男には見えない顔つきになっている。180㎝を越える長身痩躯だったはずが、目測で150㎝台後半まで縮んでいる(道理で視線が下がったように感じるわけだ、物理的に小さくなっているのだから)。
視線を下に向けると、二つの山が主張していて足元が見えない。感触的に、おそらく(ピー)も無くなっているだろう。
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