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「………何だ。まだ全然進んでないじゃないか。………僕のことなど構わなくていい。好きなように走れ、アビス。………多少揺れても僕は構わん。ゴウさんの言うことだけちゃんと聞けばそれでいい。」
唐突に起き上がり言葉を発するユーリ。
「………判ってる。毛繕いはもう少し我慢してくれ。悪いが僕はかなり眠い。力を使いすぎたらしい………というか、グサグサ自分を刺しすぎて血が足り………」ばたん
喋っている途中で突如言葉が途切れ、鈍い音を立てて倒れる。
「ちょっ、大丈夫か!?」
「………ただの貧血だ。本人の主張が確かならじき治るだろ。」
「つーか、グサグサ刺しすぎて血が足りないって………どれだけ自分を傷つけてるんだ?」
「解らないけど………私たちに実演して見せた以外にも何回かやったんでしょうね。」
実は裏で爆裂死しているのだが、彼らはそれを知らない。ゲイボルクやら首ちょんぱやらの他に2度心臓を潰してることも知らない。
音をたてて揺れながら、荷馬車は進む。
──────
『口が軽いな、小娘。』
「………軽々しく地上に干渉していいのか、愚神?」
『お前にこうして声を掛ける分にはなんら問題はないとも。』
「そうか、死ね。」
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