1章 人間失格、異世界に墜ちる

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「………何だ。まだ全然進んでないじゃないか。………僕のことなど構わなくていい。好きなように走れ、アビス。………多少揺れても僕は構わん。ゴウさんの言うことだけちゃんと聞けばそれでいい。」 唐突に起き上がり言葉を発するユーリ。 「………判ってる。毛繕いはもう少し我慢してくれ。悪いが僕はかなり眠い。力を使いすぎたらしい………というか、グサグサ自分を刺しすぎて血が足り………」ばたん 喋っている途中で突如言葉が途切れ、鈍い音を立てて倒れる。 「ちょっ、大丈夫か!?」 「………ただの貧血だ。本人の主張が確かならじき治るだろ。」 「つーか、グサグサ刺しすぎて血が足りないって………どれだけ自分を傷つけてるんだ?」 「解らないけど………私たちに実演して見せた以外にも何回かやったんでしょうね。」 実は裏で爆裂死しているのだが、彼らはそれを知らない。ゲイボルクやら首ちょんぱやらの他に2度心臓を潰してることも知らない。 音をたてて揺れながら、荷馬車は進む。 ────── 『口が軽いな、小娘。』 「………軽々しく地上に干渉していいのか、愚神?」 『お前にこうして声を掛ける分にはなんら問題はないとも。』 「そうか、死ね。」     
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