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「そんなもの、もうどうでも良い。神とやら、お前は僕を計り違えた。僕は、命の価値など認めぬとも。僕を人でなしに至らしめたのは、貴様らが産み出した人間と言う生き物だ。欲と悪意とにまみれた、浅ましい俗物どもが貴様らの子供だ!後悔しても遅いぞ、神とやら。僕は、止まらない。この身が朽ち果てるまで、決して。」
『愚かな………。』
「貴様も人のことは言えるまい。世界が終わる様を指を咥えて見ているがいい。」
『それは紡ぎ手次第だな。』
侮蔑の色を声に滲ませる神を不敵な笑みを浮かべ煽る。
「くくっ…くははははは!!」
笑みを浮かべるのみならず、実際に哄笑しはじめた。
『何がおかしい、小娘?』
「何、あまりに貴様が人間臭いので可笑しくてなぁ?僕を見る貴様のその目、僕が憎悪して止まない人間そのものだ!」
『何だと、貴様……!』
「あははははっ!その目だ、その顔だ!罪を裁く為の場にいた僕を、有象無象は皆その顔で見ていた!」
大袈裟な身振りで、笑いながら語る。
語りながら、神に背を向ける。
『おのれ貴様!』
「どうした?殺せよ。僕を赦さぬというのであれば、ご自慢の雷霆以て僕を殺すがいい。」
そう告げて、銀色のオーロラを生じさせたユーリが振り向いて嘲笑う。
「おっと、出来ないんだったな?くはははっ!貴様自身の掛けた呪いで、僕は死なないんだった。侭ならないなぁ、難儀なものだ!ではな、神。次に会うときは、僕を確実に滅ぼす手を用意しておくんだな!」
オーロラを通り抜けて、ユーリは姿を消した。
『小娘がぁ……!』
『選択を誤りましたね、大神ゼウス。』
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