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「……あのクソ神、ぶっ殺す。僕に喧嘩を売ったことを後悔させてやる…………!」
「きゃあああああああ!?」
姿を改めて神に殺意がわいた直後、絹を裂くような悲鳴が聞こえた。
「テンプレート、とか言うやつだな。情報収集に丁度良い。恩を売って情報を引きずり出そう。」
悲鳴の聞こえた方向に、再現した能力を駆使して最短距離で(触れたいものを選べる能力、すなわち障害物を拒絶してすり抜けることで)走る。
走った先には、今にも火を吹きそうなドラゴンとその前に立ち尽くす少女がいた。
「退いていろ。」
少女を蹴り飛ばして場所を空け、ドラゴンの前に立つ。手を翳し、鋭く呟く。
「─────拒絶。」
周辺の大気を拒絶して、半球状に真空を作り出す。
ドラゴンが吐いた炎は、何も燃やさず鎮火する。
「(真空を解いたら、貴様は僕達を焼き殺さんとするだろう。ゆえに、このまま殺す。悪く思うな。……恨むなら、僕に出会した己の不運を呪え。───────その心臓、貰い受ける。)」
拒絶を行使したまま腕を肩まで胸部に突き入れ、心臓に触れたいと願いながら体内を探る。
「(見つけた。……ふん!)」
掌に触れたそれを掴み、胸部から腕を引き抜く。
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