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少女ことユーリが、頭を下にして落下していく。
広場目掛けて、まっ逆さまに。
「人が少し邪魔だな……追い払うか。幻想再演、『五つの石』!」
決して人に当てることなく、無数の石を降らせる。
人が居なくなったことを確認して満足げに頷いて─
顎を引いて首から石畳に叩きつけられた。
「……案の定、駄目か。」
あり得ない方向に首が曲がったまま、ゆっくりと起き上がる。首を元のように治した──
数秒後、足場にして置き去りにした何者かが押し潰すように降ってきた。
「ぐっ!?」
回避できるはずもなく、あっさり下敷きになる。
「……明らかに死んでいなければおかしい高さなのになぜ死なない……!」
何者かの落下による運動エネルギーをもろに受けたにも関わらず、外見上はほぼ無傷のユーリが嘆く。
「さて………無意味だった検証も終わったところで。何処へ行こうか?」
実体を失くしたかのように、何者かの体をすり抜け立ち上がる。
「見つけたぞ、ユウ。」
「………?…気のせいか。」
後ろから掛けられた声に見向きもせず歩きだす。
「待て。………おい、待てっつってんだろ!」
「何か騒がしいな。………少し急ぐか。」
少し急ぐかと呟くと同時に、膝を深く曲げてしゃがみこむ。
伸び上がるように全力で地を蹴り、空高く跳び跳ねた。体を掴もうと後ろから伸ばされた手は、虚しく空を掻くに止まる。
「の、アマ、待てっつってんだよ!古より」
「しつこいぞ、お前。幻想再演『終局的犯罪』!」
棺桶に偽装した重火器から無数のミサイルと実弾をばらまく。
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