1章 人間失格、異世界に墜ちる

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少女ことユーリが、頭を下にして落下していく。 広場目掛けて、まっ逆さまに。 「人が少し邪魔だな……追い払うか。幻想再演、『五つの石(ハメシュアヴァニム)』!」 決して人に当てることなく、無数の石を降らせる。 人が居なくなったことを確認して満足げに頷いて─ 顎を引いて首から石畳に叩きつけられた。 「……案の定、駄目か。」 あり得ない方向に首が曲がったまま、ゆっくりと起き上がる。首を元のように治した── 数秒後、足場にして置き去りにした何者かが押し潰すように降ってきた。 「ぐっ!?」 回避できるはずもなく、あっさり下敷きになる。 「……明らかに死んでいなければおかしい高さなのになぜ死なない……!」 何者かの落下による運動エネルギーをもろに受けたにも関わらず、外見上はほぼ無傷のユーリが嘆く。 「さて………無意味だった検証も終わったところで。何処へ行こうか?」 実体を失くしたかのように、何者かの体をすり抜け立ち上がる。 「見つけたぞ、ユウ。」 「………?…気のせいか。」 後ろから掛けられた声に見向きもせず歩きだす。 「待て。………おい、待てっつってんだろ!」 「何か騒がしいな。………少し急ぐか。」 少し急ぐかと呟くと同時に、膝を深く曲げてしゃがみこむ。 伸び上がるように全力で地を蹴り、空高く跳び跳ねた。体を掴もうと後ろから伸ばされた手は、虚しく空を掻くに止まる。 「の、アマ、待てっつってんだよ!古より」 「しつこいぞ、お前。幻想再演『終局的犯罪(カタストロフ・クライム)』!」 棺桶に偽装した重火器から無数のミサイルと実弾をばらまく。
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