2939人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
“大丈夫”と言いつつすぐ無理をするおじさんのことで頭はいっぱい。
慌ただしく電話を切ると、望月先生が「お急ぎのようですね」とベンチから腰をあげた。
「あ、はい。すみません……」
特に望月先生と約束をしているわけではないので、謝罪するのも妙だが咄嗟に出た。
「僕こそ突然話しかけてしまい失礼いたしました」
「いえ、それは全然……。今後とも理をよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。また明日」
「はいまた明日、よろしくお願いいたします」
望月先生とお辞儀をし合うとすぐ、私は自転車にまたがり急いで公園を出る。
“アルマ”にはあっという間で着き、裏口から「お疲れさまでーす」と駆け込んだ。
「舞ちゃん、悪いわね。お休みの日なのに」
「それは全然。おじさん平気?」
おばさんの顔が曇る。
「お父さんは大丈夫って言うけど、起き上がるのがきつそうなのよ。今日は重たいものはとても持てないわ」
「あららら……」
おじさんの様子も見たいが、それより“大丈夫病”が進まないうちに掃除を終わらせた方がいいだろう。
「舞、悪いな。休みなのに」
直が自宅になっている二階からおりてきた。
「全然、暇だしいーよ」
「助かるよ、ほんと。サンキュ」
直の大きな手が頭に乗り、くしゃっと撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!