お受験ママになるために

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“大丈夫”と言いつつすぐ無理をするおじさんのことで頭はいっぱい。 慌ただしく電話を切ると、望月先生が「お急ぎのようですね」とベンチから腰をあげた。 「あ、はい。すみません……」 特に望月先生と約束をしているわけではないので、謝罪するのも妙だが咄嗟に出た。 「僕こそ突然話しかけてしまい失礼いたしました」 「いえ、それは全然……。今後とも理をよろしくお願いいたします」 「こちらこそ、よろしくお願いいたします。また明日」 「はいまた明日、よろしくお願いいたします」 望月先生とお辞儀をし合うとすぐ、私は自転車にまたがり急いで公園を出る。 “アルマ”にはあっという間で着き、裏口から「お疲れさまでーす」と駆け込んだ。 「舞ちゃん、悪いわね。お休みの日なのに」 「それは全然。おじさん平気?」 おばさんの顔が曇る。 「お父さんは大丈夫って言うけど、起き上がるのがきつそうなのよ。今日は重たいものはとても持てないわ」 「あららら……」 おじさんの様子も見たいが、それより“大丈夫病”が進まないうちに掃除を終わらせた方がいいだろう。 「舞、悪いな。休みなのに」 直が自宅になっている二階からおりてきた。 「全然、暇だしいーよ」 「助かるよ、ほんと。サンキュ」 直の大きな手が頭に乗り、くしゃっと撫でた。
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