0人が本棚に入れています
本棚に追加
「何それ……」
苦笑を口元に浮かべて顔上げると、いつの間に移動したのか、薫と視線がぶつかる。
「少なくとも、お前みたいに相手の顔色伺ったりしないし、いたい奴としかいない。面倒くさいの嫌いだし」
「私だって……」
「お前は違うだろ。皆と一緒にいたいけど、どうしたらいいかわかってないだけだろ?」
言い返そうとして開いた口は、微かに震えるだけ。そのままゆっくりと口を閉じて、強く、固く、引き結ぶ。
「俺と違ってお前は、相手の痛みがわかるだろ。アイツらはいないんだから友達作ればいいだろ」
「私は……」
絞り出した言葉は、自分でもわかるくらい震えて、かすれていた。
私の考えを言わないと、思っていることを伝えないと、口にしないと人はわからない。
早く、ハヤク、はやく――
『三神さんってさー、正義のヒーローにでもなったつもりなの?』
心臓が、ドクンッと大きく跳ねたようだ。
それからしばらく止まってしまったような感覚になって、息苦しくなる。呼吸が上手く出来ない。
どうしたらいいんだっけ? あれ、私……。
どうやって息してたっけ?
最初のコメントを投稿しよう!