一年で一番悲しい夜

2/4

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/234ページ
夜。 その日だけはどの家の子供もはなかなか寝付けずにいた。 「寝ないと来てくれないわよ」 と、お父さんやお母さんに言われながら、それでも待ち続けていたが、眠さに耐えきれず夢心地で目を閉じるのだった。 誰もが寝静まった頃、子供たちの期待に応えようと家に忍び込む姿があった。 背中には大きな袋を抱えて。 その人物は物音ひとつ立てず、子供の寝ている部屋に入った。 「欲しがってたおもちゃだよ」 枕元にプレゼントを置き、幸せなそうに眠る顔を見ながら、サンタはすぐに姿を消した。 「さあ、もう少しだ。明日の朝は、それぞれの家で子供たちの笑顔が溢れるだろう」 トナカイを走らせ、月の光を背に受けながらサンタは次の家へと向かった。
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加