聖夜の食事

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ここをクリアすれば後は大晦日までダラダラと過ごし、年明けからはぜんざいを食べて寝正月、あとは日帰りバスツアーを楽しみに仕事初めを迎える筈だ。 買い物が終わったのでいつものコースでクレープを食べ、ぼんやりと年末年始の事を考えていたが、合間にトレーニングもしないと新しい技の感覚を忘れそうなので頭の隅に追加しておいた。 「今日は残り物でいい?カボチャとか大根の煮つけもあるし」 「なんでもいいよ、ケーキもまだ残ってるから」 プレゼントを買って貰ったドラム缶はもうクリスマスムードは卒業し、いつもの生活プラスケーキが思い切り食べれる日に切り替わったようだ。 私達は後日街に出て何か見ようと話が纏まり、家に帰ってからは横になりチャンネルは時代劇で固定され、スナック菓子の大袋を皆で摘まんでるダラけた過ごし方をしていた。 とても十代の女子とは思えず、オバ友三人組でメタボなんて気にしてらんないよと饅頭でも摘まんでそうな感じだ。 それでも私達にとってはこのダラ時間がとても幸せで、お菓子だとそんなに金もかからないし、寒い中外に出たくないので最新設備のあるここが楽園のように居心地が良かった。 ホールケーキ三つは約三日半で無くなったが、それからは藤井屋のあんまんが食べたいと催促されたので、少しは我慢して年明けに考えると先延ばしにして過ごしていた。 休みの日は本当に早く過ぎてしまうもので、気づけば大晦日で午後七時に社長と待ち合わせと考えると、急に気が重くなる。 母は会社の人と初詣に参るだけの行事としか知らないので、面倒がらずに行きなさいとおにぎりを握っているが、景品がかかったゲームがあると伝えても死ぬ気で頑張れと言われるだけだ。 今年も羽根つきなんだろうか、それとも違う手で攻めてくるのかという心配もあるが一番のネックは審判役がいる事だ。 このところは八雲さんだが判定どころか自らも参加し、同じチームになると最悪な目に合う。 足を引っ張るなオーラが強いし、程々に頑張りたいのにプレッシャーを与えてくるので今年は瑠里とペアになりたい。 敵がキツネ二匹の場合……いや、社長と瑠里ペアの場合もいちいちヤジを飛ばしてきてキレる事になるのも分かっている。 でもそんな心配より、違う方向で驚かされる事になるとは全く想像していなかった。
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