ペットと公園デビュー

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「騒ぎになると面倒だ、出直そう」 犯人が散ったので追いかけようとしたが、凱に制止され先を見ると、つなぎ姿が後に続いていたので安堵の溜息が漏れた。 「はぁ……どうなる事かと思ったけどアンタ!何してくれてんの」 山金犬に向かって大きな声を出すと、凱がニヤリと笑みを浮かべ答えてくれた。 「珍しいですが、その子は貴女を守ろうとしたんですよ」 「でもこの犬は草食じゃないですよね……」 予想通り頷かれたが、マブダチでもない限り口の中に入れようとされても、食べられるとしか浮かんでこない。 でもそこよりイラついたのは、私を口に入れる時に隙ができ、その間に毒でも注射されたら台無しだったいう事だ。 「アンタ毒打たれて一回捕まってんだよ?せっかくお天道様を拝めるようになったのに、無駄にするんじゃない!」 もし犬に毒が注射され、盾にされたら私も動けなかったし、最悪殺られていたかもしれない……犯人か凱に。 「勝手な行動は禁止の約束なのに、聞かなかったからコンビは解消ね、巻き込んで悪かったけどゆっくり身体休めて」 「いえ終わりではないですよ、公園の女性達もどうなったか確認するつもりですし……今日はここで過ごしましょう」 流れで職場に帰る算段だったのに、シレッと引き留められ苦笑いするしかない。 ふと王子を見ると、チワワの大きさをキープしているものの、何となく目線を合わせないのが気になった。 「イナリ……具合悪いんですかね」 「いえ、兄弟分が仲良くしすぎでヤキモチでも妬いているのでしょう」 『分かりづらいし!』 普段ならこんな会話も出来ないが、見た目が違い話がスムーズだとしても、残虐な部分は変わらない筈なので機嫌を損ねないようにしたい。 「イナリ、明日は一緒に帰ろうね」 本当は抱っこして頬をスリスリしたい気分だが、恐らく今は止めて欲しいと思っているに違いないので、気持ちを汲んでおいた。
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