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「やっぱ悪魔だよあのキツネ!合格してからでもいいじゃん」
本番でどんな目に合うかも分からないのに、見抜けない私が行っても不安で仕方なく、命の危険が増すだけだ。
「化けの皮が厚くて何考えてるか分からんし怖いね、まあ明日は気合を入れて行くしかないわ」
自宅に着くとまずは仮眠して身体を休めたが、夕飯は宅配のピザを注文し味を確認するようにゆっくりと食べた。
帰って来たら又頼もうと言い自分の部屋に戻ったが、日帰りバスツアーに加えピザを食べるという励みが追加され、絶対に戻ってやると心で誓う。
翌日の夜は冷え込み、カイロを貼って五分の道のりを完全防備で凌いだが、着替え終わり部屋で待機していると鼓動が早くなる。
合格していないので安心感もなく、自転車で平均台の上を渡れと言われるくらい緊張していた。
ここのコーヒーは体調等を考慮してブレンドされているのでガブ飲みし、まずは落ち着きたいし木村さんの笑顔で安心をもらいたい。
いつもあの体型の親近感と気遣いで癒されているが、今日は部屋に入ってくるのが待ち遠しい位だ。
「まあ、座って飲みなさいな」
立ったままドアを開けてソワソワしていると、妹に指摘され苦笑いで椅子に腰を下ろした。
絶対にないと分かっているが、何かの事情で私は普通に研修を受け、瑠里達は本番を迎え、無事に帰ってバスツアーに参加して温泉で温まる。
半ば現実逃避に入りかけていると、木村さんの姿が見えたので、急に緊張で一杯だった自分に引き戻された。
「あらあら、顔が強張ってるわね」
顔を見てまず安心させようとしてくれたのか、本番は潜入メーンで倉稲を使うと繰り返された。
そういえば受ける前にそんな事を言ってた気もするが、今は思い出してる余裕もない。
「じゃあ執行の時より襲われる確率低いですよね?」
本番と言っても監視役もいて、バイトのさっちゃんもいるので、何かあれば助けてくれると安心要素を並べてくれる。
でも幾つ言われても満足できないのは、現場でよくトラブルに合い、誰のヘルプも受けられないパターンが多いからだ。
もし何かあれば逃げるのか、それとも応戦するのかを聞くと、標的は執行対象に入ると言われ嫌な予感がしてきた。
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