聖夜の食事

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一つは電気圧力鍋で、材料を入れたら放置出来る手軽さと、歯的な事情で柔らかいメニューを増やしたいらしい。 「まぁ料理苦手だもんね……てか、最新家電揃ってるのに圧力鍋なかった?」 「あったけど……」 システムキッチンの下を扉を開け、手招きされ行ってみると、圧力鍋はあったが何かが足りない気がした。 「あれ?出っ張り部分がない」 引き出しから出て来たのは、圧力調節の部品でどうやら力を入れ洗いすぎて取れてしまったらしい。 「どんだけ力余ってんの、取れないよね普通」 「しかもその鍋元から用意されてたから絶対に高いよ、気をつけて扱ってくれないと」 いつの間にか起きて来た瑠里の小言が始まると、パンフレットを隠し、テレビを見て誤魔化しに入っていた。 「生活に必要な物はすべて会社が揃えてくれてるのに、壊すとかホント止めてよ?いらんお金が飛ぶだけじゃん」 「分かってます、以後気をつけます」 本人も反省してるようだし、木村さんに報告して弁償が必要か聞いてみようと思っていたが、もう一つのミニ高圧洗浄機のパンフレットも気になる。 「まさかもう一つの方も壊したの?」 掃除道具も最新家電が揃えられ、高圧洗浄機があったのは覚えている。 「いやそれは……お祖母ちゃん宅の掃除用だよ」 ウチで使ってみて便利だったが、同じ品は高いが少し小さめだと値段が手頃だったので、ネットでパンフを取り寄せたようだ。 どちらにしても自分が欲しい物というより、生活便利品の部類なので、『少しリッチな化粧水』等をねだられる方が気が楽だった。 瑠里もそれは生活費の中から貯めるから、純粋に欲しい物でいいと提案すると、パアッと顔が明るくなり嬉しさを表現する為かスキップをしだした。 「ちょっと、そんな体型でドタバタすると下の階の迷惑になるから」 ここは萌葱刺繍しか住んでいないが、親と同居してるのはウチだけなので、周りの迷惑になるような事は避けたい。 母がワクワクしながら考えてる間に支度を済ませると、今から明日まで楽しみだらけだし、最高のクリスマスだと連呼していた。 私達が焼き肉屋に行く間、王子達はお留守番となるが、今更ながらあの二匹だけにして大丈夫かと不安になる。 母は何度もお留守番してると言っていたが、動物の言葉が分かるサプリを飲んだり、口の悪いペットと出会ってから特に心配になっていた。
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