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「いつもこんな豪華な朝食なの?」
「毎日オムレツとパンだけだよ」
ウンザリした顔だったが、これだけの材料があれば他の料理にもアレンジ出来るし、我が家なら何日か凌げる。
「じゃあパンには合わないかもだけど、簡単に出来る違う品作ってみようか」
「――えっ、本当?!」
セクロは嬉しそうな顔を見せてくれたが、本当に簡単だし、ただの節約料理なので口に合うかは分からない。
でも毎日同じだとさすがに飽きてくるし、幼い彼が作れそうなメニューを選べばレシピも増えると思い、ピーマンを細切りにしていた。
「中のワタ取らないの?」
「うん、栄養あるしウチでは全部食べるよ、塩昆布と一緒に炒めるのが定番かな」
白ごまや塩昆布もあり、意外と調味料も揃っているので、瑠里のリュックを探さなくても済みそうだ。
ジャガイモとアボカドは千切りにしてサラダに使い、出来立てのパンはチーズやハムを挟み、卵を絡めてフライパンで焼く。
ウチでは安いスーパーの一斤食パンを買い、冷凍保存し一週間の朝食として切り詰めた事もある。
毎日同じ物……というマンネリ感をなくすには、調理法や味を変えるしかないので、節約メニューのレパートリーはある。
それでも食べ飽きる位、長い間節約メニューばかりだったが、今は母が担当なので自分が出来る品を味見ナシで作っている。
仕事の日のおにぎりはメニューと言えるかは疑問だが、ここは野菜の他に卵があるだけでも十分贅沢だ。
「卵は近所の人が毎朝くれるから……」
「そっか、ウチもそんな人が隣にいたら幸せだったなぁ」
朝食を作り終えると瑠里達が起きて来たが、一緒にご飯を食べると更に距離感が縮まった気もするし、喜んでもらえて嬉しかった。
でも瑠里はパン以外はウチと一緒なので、もっとご馳走を食べたいと顔に出ていた。
「お礼に、ご褒美に飲む紅茶出すよ」
ルーアが立ち上がったがすぐに止め、自分達の為に取っておいてと、瑠里はリュックからレモンティのスティックを出した。
「何種類持ってんの?」
呆れてしまうが今回に限っては大活躍で、支度を済ませると滋さんに来てもらい、宿代を払わせて兄弟とお別れをした。
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