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セクロが眠そうだったし、客も増えて来たので店を出る事になり、ルーア達とは又会おうと連絡先を交換し、土産を渡してお別れをした。
「結局何しに来たんだろう、普通に仕事だったわ」
「まぁ終わった事だし、明日からはゆっくりしようや」
瑠里達のチームは本当に途中で追手が消え、休憩がてら屋台でパンを摘まみ、ホットドリンクを飲み身体を温めていたらしい。
従業員証をかざし扉を潜ると消毒の通路を通り、シャワーと着替えを済ませ、受付で木村さんの顔を見るとまず愚痴が零れた。
「聞いてくださいよ、執行役がすぐに来なかったんです!私自力で戦う羽目になったんです!」
「お、お疲れ様、大変だったね……勿論給料もつくし……」
「どいつが執行役だったんです?滋さんだったら文句言ってやりたいんですけど」
木村さんに言っても仕方ないのは分かっているが、誰かに聞いてもらいたい……というか、ルーアを近くに待たせ執行もこなした分の八つ当たりだ。
「ホント百合はいつも危険な目に合ってるし腹立つよね、気が晴れるなら私をビンタしていいから」
「いえ……それはいいです、罰当たりますから」
すぐに怒りを沈められてしまい、指示された部屋にはコーヒーと、ご機嫌を伺うようにお菓子まで準備されている。
まるでこういう展開になると予知していたとも取れるが、さっきのカフェでスイーツモードが加速していたので、すぐに手を合わせていた。
明日から休みだしまあいいかと、帰る頃にはすっかり忘れてしまっていたが、木村さんに明後日は午前中だけ出て来てと見送られた。
「研修結果の報告だよね多分……」
「今更どうあがいても変わらないんだから、般若は身体をゆっくり休めて爆眠したらいいよ」
いつもの仕事とは違い慣れない事ばかりだったし、他人もいて気を張ったので、翌日は夕方まで眠ってしまいドラム缶に起こされた。
「ホントいつまでも眠てるね、休みの最後に日帰りツアー決定したから、報告しようと待ってた」
「――あ、ごめん、ちょっと疲れてたのかも」
昼間に連絡したようで母はウキウキしていたが、寝起きでまだ頭がボーッとしているのもあり、実感が湧かなかった。
日帰りバスツアーを励みに研修を乗り越えたので、絶対に楽しんでやるとベッドから下りた。
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