聖夜の食事

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「二人が稼いで連れて行ってくれるかもしれないし、お行儀よくしないとね」 そんな事には全く触れてないのに、食べ物の話になるとシレッと参加してくる母に顔が強張る。 「あ……久々にお肉食べたけど美味しいね」 「そんな薄いお肉サッと焼いて食べれるよ、なのに特上って意味分からんけど」 ハンバーグやメンチカツは食べれるのに、肉単体だと脂身や厚みで肉々しさが増し、匂いも含めて食べる事が出来ない。 でも戦士たちは幸せそうな顔をしてモリモリと食べているので、付き合うのは嫌ではないがとにかく忙しなく、食事に来た感がないのが困りものだ。 私は葉物と特上ロースでお腹が一杯だが、追加でカルビとロースを頼んで途中網を変えてもらいながら、母達の肉祭りは暫く続いた。 「そういえば、社長クラスは高いお店でクリスマスディナーなのかねぇ」 「さぁ、キャバクラの姉ちゃんに高いお店予約された想像しかつかない」 最後のお肉が焼けるのを待つ間、母が不意にキツネ面の話をするので思わず本音が出てしまった。 「あんな親切な人にそんな事を言うもんじゃないよ、今日だってご厚意で券貰ったし土産もよく頂くし」 完全に物で釣られているのは仕方ないが、母から見ると親切なジェントルマンにしか見えないのだろう。 私でもたまに金持ちって凄いと紳士に見える程なので、母の前では期待を裏切らないようそういう存在にしておく方が無難かもしれない。 「ハツさんも上品だけど男気のある面もあって頼りがいあるし、お孫さん達もイケメンが多くて羨ましい」 しゃべっていても手は止まらず、目も網から放さず同じ枚数を皿に盛ると、ようやく戦場に幕が下りそうだ。 「券あるし、プリン頼んでいい?」 「えっ!計算して肉注文したから自腹になるし、店だと割高だから買って帰れば」 私はそんなに食べてないのでプリンぐらいいいじゃんと思ったが、戦士達はお腹がパンパンでもう何も入らないようだ。 仕方なく席を立とうとすると、店員さんがプリンを三つ運んで来たので、妹が頼んでませんと即座に反応していた。 「あちらのお客様からです」 バーで言われそうなフレーズを聞き、店員さんが指さした先を見ると、社長と滋さん八雲さんと啄がいて何故か全員半笑いだった。
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