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「違うって、スージーは照ちゃんみたいに異世界に移住して長いから、言葉の表現がたまにおかしいんだよね」
「バリバリの日本語やろが……じじい、まさかあの挑戦的な態度は賭けのせいとか言わないだろうな」
スージーの後ろに隠れこちらをチラ見していた社長だが、盾にされたじいさんまで微妙に後ずさりをしている。
そんな展開なのもお構いなしで、須藤さんは澄清と申しますと漢字の説明を瑠里にし、他人のフリをしていた。
「お前らは腐っても社長と大先輩だろうが!そんな奴らが新人を私利私欲の賭けの道具に使ってんじゃないよ!」
逃げるじいさん達の襟元を瞬時に掴み、ゲンコツを落とすと、床でグルグルと寝そべって痛みに顔を歪め頭をさすっている。
「本当に……恐ろしい魔物じゃ、羅刹鬼もしくは鬼神でもいい」
「ほぅら百合は凄いって分かったじゃろ?生半かな般若じゃない、正真正銘神楽に出てんじゃね?的な怖さじゃろが」
褒める方向は怒りに火を注いでいたが、心の中では何となくホッとしていた。
あんな風に仕事顔で説教されると、その内ストレスで胃潰瘍退社という事もありえたかもしれない。
人の顔色を見て生活してきたので、ピりついた職場だと精神的に続かないし、今は自分を出せるのでメンタル的には楽な部分もある。
「これくらいにしておこう、百合さんの方は抱え込みそうで可哀想じゃ、普段はチャーミングなお嬢さんでしたよ」
今日は口数が多いスージーだが本来はこんな感じの人で、ウチのキツネ似の社長よりずっと女心を分かってくれ少し嬉しくなった。
異世界で暮らしてる部分は照ちゃんと共通してるが、スージーはイザリ屋の能力を残されてそうだけど質問は止めておいた。
息子の澄清さんは、新人研修をしている位なので分かるが、普段あの施設で何をしているのか等も気になる。
先輩方に仕事についての相談もしたいが、キツネ……いや社長がいるので、余計な事をいうとすぐに帰れない恐れもあり作り笑いで場を凌いだ。
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